心も体も、全てあなたのもの

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「《是非》ってなんだ」 テーブルの向かいに座る彼は、話を聞き終えると怒った顔で言った。 「……だからそれは慌ててフォローしようとしたら、ついうっかり、」 「フォローも何も、初めから彼氏がいると認めれば終わる話だろう。そのネックレスも貰い物だと正直に言えば良かったんだ。お前は嘘が下手なんだから」 「―――え、だってそれ認めたらダメじゃないの? 凛子にも自分で買ったって言っちゃったんだよ?」 「相手が違うだろ。岡崎はお前の女友達で、眞島の方は、ただお前に気があるだけの、仕事以外じゃ何の関係もない男だ。誘いをかわす為に嘘をついたと言えば、岡崎だって納得する筈だし、眞島だって、すぐに諦めただろう」 「そんな、無理だよ、まさか誘われるなんて思ってもなかったし、私、桔平と違ってそんなすぐに頭が回らないよ」 「………お前は本当に男を知らなさすぎる」 桔平は、呆れたように息を吐いた。
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