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「あのな、よく聞け」
彼は怖い顔のまま、じっと私の目を見て言う。
「はい」
私は、かしこまって聞く。
「男が特定の女に、交際相手がいるかを確認するのは、もう誘う準備が出来ているからだ」
「そうなの?」
「しかもその前に、綺麗になったって言われてるんだよな?」
「それは、ただ褒めてくれただけかと」
「普段からチャラチャラした奴が言うならともかく、相手は眞島だぞ? あの真面目な男がそんな言葉を口にした時点で、もう始まってるんだよ」
「そんなの私が気付けると思う?」
「思えない」
「分かってるなら、そんな無理言わないでよ」
「次また誘われたら、どうするつもりだ?」
「………わかんない。でも食事だけなら、一回くらいはしょうがないかなって」
「―――ダメだ。絶対に断れ。一度があれば、二度目も必ずある。眞島に期待を持たせるだけだ」
「……じゃあ、なんて言って断れば…」
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