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あれから数日間、
私は、
悩んで、悩んで、悩み尽くした。
その彼、水野桔平は、一年ほど前に部長に昇格して、派遣社員の私が勤めている本社に移動してきた。
かなり出来る男だと、社内の前評判は高く、実際その通りで、もちろん私よりもだいぶ年上だけど、34歳という若さで部長にまで出世できたのも納得だった。
現在35歳の彼は、実年齢よりも若く見えた。
背も高くて、端整(たんせい)な顔立ち。
それでいて嫌味な部分も全くない。
そんな魅力的で完璧な男がモテない訳がなく、なのに、誰かと付き合っているという噂を聞いた事はなかった。
私は水野部長の見た目よりも、何故かふと感じる彼の孤独感がとても気になっていて、そこから恋心が生まれた。
こんな気持ちになったのは初めてで、だからせめて想いをぶつけるだけでも、と、当たって砕ける覚悟で告白したのに、
―――――まさかの黒歴史。
もちろん今までに、何人も恋人がいただろうとは思ってた。
けれど、まともな恋愛もせずに、沢山の女の人と遊びで寝るような男だったなんて、少しも予想してなかった。
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