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平気。そんなに高くないし、下は海だし」
こうちゃんには通じなかったようだ。正直、面倒臭いと思ったが心の中で留めておいた。口に出すと後が大変だからな。重い腰を上げて砂浜を歩いて行く。
「どこから撮ればいいの?」
「そうだなー、真横から撮りたいからここら辺から撮ってくれ!」
指定されたのは防波堤の中心辺り、牧人の立っている場所のの少し手前だった。確かにここならいい動画が撮れそうだ。携帯の電源を入れ、カメラを起動する。ムービーモードにしたところで俺はこうちゃんと牧人にサムズアップで合図を送った。
「準備できたよー!」
「わかったじゃあ撮ってくれ!」
こうちゃんの言葉を聞き録画のボタンを押した。ピッっという音の後、画面下部の数字がカウントを始めた。録画が正常に行われている証だ。
「それじゃあ、牧人が飛び込むまでー!」
こうちゃんが叫ぶ。牧人が飛び込みの体制に入るのを画面越しで見ていると、画面の左下、海の方から牧人の足に向かって伸びる黒い影のようなものが写っていた。何か汚れでも付いているのかと思い画面に息を吐きつけたり、目を擦ってみたりするが黒い影は消えてはいない。
何
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