終わりへの鐘

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進一は初めて聞くことだった。 「何も言わなかったじゃないか」 「貴方、帰ってきても直ぐに自分のベッドで寝るか、たまに私のベッドに入っても、終わったら高いびきで話なんて聞いてくれなかったじゃない。 ……えっと……なんの話だったかしら。 そうそう。 その分仕事がキツくなって残業続きだった。 あの日は終電が無くなってタクシー呼ぼうとしてたところを、課長が見兼ねて家の前まで送ってくれたの。」 まさか。 「男に送って貰ったのは事実。でも貴方も疑ったんじゃないの?」 母の勘違いだったというのか。 そして俺も。 進一には紡ぐ言葉が見当たらない。
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