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「あの子は傷つけないであげてね、希少で金額に換算すると億はくだらないから」
「い――っ!あんなガラ悪いリスがぁ?!」
滋さんに言われてしまうと、親族なので従うしかないし残った羊人間は、彼の手によって執行されてしまった。
地下と一階までの予定なのに仕事が遅いと反省していると、あの技を解いたのは凄いし又成長したと褒められたが目は笑っていない。
全員が集まるまでその場で待機を指示されたが、前のテーブルの檻の中から、ガラ悪がこちらを見据えている。
億と言われてからもう一度見ると、毛並みが黄色のような茶で綺麗だし目は紺色で、ペットショップでは売ってなさそうだ。
「愛らしい大きさと顔な分、悪人感が本物に思えるね」
「自分が価値があるの知っててプライド高いんでしょ、金持ちと同じだよ」
ずっと睨まれているので、一緒に執行しようとした事を根に持っているのかと場所をズラし、グミでも食べようとリュックを探り始めた。
「おい、お前名は?」
「気軽に話しかけてんじゃないよ、まずは自ら名乗るのが筋だろうが」
奴はテルデといい、ここに捕らわれる前は主人と二人で暮らしていたが、先日無実の罪で連行され現在に至るらしい。
誰もそこまでの情報は求めてないし、聞くと助けに行きたいとか余計な展開になり、巻き込まれる率も上がる。
グミを食べながら軽く受け流していると、一つくれと言われ三個ほど檻の中に投げ込んだ。
朧にあげた時も反応が面白かったのでチラ見すると、ハート型のグミを両手の持ち、二足で立って少しづつ食べている。
「おぉ、コレは食べた事ないな」
気に入ってくれたようで、食べる姿は可愛いが、このまま関る事なく、あとは金刺繍に任せたい。
「もう一つ頂こう、で?名前は」
「月影百合、隣でスルメを食べてるのが妹の瑠里」
ウチの家族には不評だが、異世界の者は気に入ってくれる酸味が効いたグミの新作は芳醇ぶどうだ。
リュックの中にまだあるので、残りの袋ごと渡すとクンクンと中の匂いを嗅いで興味を示していた。
「それ食べていいよ、私らはそろそろ行くわ、誰か来るから心配はいらない」
リーダー達の所へ移動しようとすると、テルデがグミの袋を抱え呼び止めるので、足りないのかと思いリュックに手を伸ばした。
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