占い助手シロップ

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「ここは確か南極の休息がテーマのお店だよね」 「女子に人気なんだよ」 教えてくれてる二人は食欲しかなさそうに見えて、実は女子力高い所が小憎い。 店内に入るまでは振り向く訳にいかず、視線の特定が厳しかったが、雰囲気とそぐわない者が三グループいる。 その内一つは明らかに朧達の変装だと分かるので、怪しいのはそれ以外だ。 朧達はあえて以前に見た姿に化けてくれていて助かるが、後のグループは微妙に席が遠い。 犬螺眼を使うと目の前の女性達まで怖がらせてもいけないし迷っていた。 『待てよ……ここではイザリ屋ではなくミーちゃんモードの練習だったね』 次の店の相談をする二人に相槌を打ち、左手を頬に垂直に当て目元がバレないよう工夫をしていると、膝の上にいたホイップがテーブルに前足を置く。 「ホイップ、待ち遠しくてテーブルの上が気になったのかな?」 いい目くらましになってくれているが、実は反対側から見えにくいように、小さな盾になってくれていた。 本当にいい役者とパートナーだと大いに自慢したいが、妹以外には言えない内容だ。 別名……いや、あだ名が幾つもある私達だが、今日はホイップ&シロップになりきり、少しでもレベルアップして帰りたい。 蛇の一件では頭上に分かりやすく『偽』と出たが、あんなベタな文字が浮かんでくれるとは思ってなかった。 今までは心臓辺りの炎の色が変わる感じだったので、似たような雰囲気を予想していたが、文字が浮かぶという変化球で返ってきた。 「読めない漢字が出てきたらマズいな……」 自分の学のなさはさておき、今日は占い助手がメーンなので『偽』が嘘と分かった以上、正しい事を言っているなら『真』辺りが妥当だろう。 二グループの内の一つは男女のペアなので、一見安心そうに思えたが、何となく胸騒ぎがしたので候補に入れている。 残りの男性二人組は屋内にも関わらずサングラスを外さず、芸能人かとツッコミを入れたくなるが、異世界だと目の色を隠す等事情があるのかもしれない。 赤ワンピはストーカーだと言ってたので、男性が混ざってるグループで見当をつけたが、もし女子だったら一貫の終わりだ。 テーブルの上に野菜等が次々と置かれ、頭の中はラクレットに逸れ気味だったが、ミートソースパスタが来た時点で完全にストーカーは後回しになった。
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