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「あら、シロップもパスタにチーズたっぷりかける派?」
「はい、たまりませんよね」
「私もぉ!急にシロップの目の色変わった気がするもん」
ギクッとして目の辺りをさり気なく覆ったが、ただの冗談だったようで、過敏に反応した自分が恥ずかしい。
いつもなら瑠里がいるので逃げ腰になったり、般若もしくは魔王が出たと騒ぎ立てるので、考えてみれば合図になっていたかもしれない。
「いや……ただの悪口じゃん」
お待ちかねのチーズは店員さんが木の縦長のプレートに乗せ運ばれ、まずは野菜類の上にかけてくれた。
うわぁと小さな声を上げ、皆で暖炉を囲むように注目していたが、チーズの波はいつまでも見ていられるとウットリしていた。
「シロップ早く食べないと固まっていくよ、おかわりは追加出来るから」
『御意』と瑠里のような返事をし、すぐスプレーを振ると、パスタを口に運んで感動していた。
「最高すぎる……幸せです」
もっと余韻に浸っていたかったが、鋭い視線が膝から注がれているので、ホイップにもおすそ分けをし次は念願のジャガイモを食べた。
「贅沢な食べ物ですね」
私がイチイチ感激するので赤ワンピが嬉しそうに、今度は他のお店も連れて行ってあげると声をかけてくれた。
もしかすると建て前かもしれないので、本当ですかとすぐ確認を取ったが、そんな貧乏くさい所も包み込む懐の深さがある。
「あの……お名前聞いてもいいですか?」
いつまでも赤ワンピやピンクニットでは申し訳ないし、今後も付き合うなら差支えないと思い質問してみる。
「好きに呼んで、互いに本当の名前を知らない友達ってよくない?」
「――えっ?!」
急にスパイみたいな発言が飛び出すので不思議に思っていると、ピンクニットが今ハマッてるテレビ番組の影響だと教えてくれた。
赤ワンピをレッド、ピンクニットをピンクとカラーで統一させると、二人は満足してくれたが戦隊ヒーローみたいでいいのかと不安になった。
ホイップから催促のペースが早まる頃には、テーブルの上の野菜は綺麗に消えていて、追加を頼むか聞かれたが首を振っておいた。
食後のコーヒーが運ばれるまでにホイップの口元を拭き、一旦お預けになっていたが周囲の気配に意識を注いだ。
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