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「皆んなでストーカーごっこか?女性を大勢でつけ回すって暇かお前ら!」
「そんな訳ないだろ!あの女をずっと追ってたんだ、サッサと渡しな」
会話が噛み合ってないが、確かに女がストーカーなのも不自然で、かといって手助けをしそうな雰囲気でもない。
ならば何の為にレッドを監視するのか疑問が湧いてくるが、こんな時こそウソ発見器作戦しかない。
ゆっくりと集中する時間がないのは、他の三人が私を囲むように近づいているので分かっている。
女の頭上を見ると思っていた通り『偽』と浮かび、思わず笑いが出てしまった。
「何がおかしい」
「女優ぶっても嘘が丸見えなんだよ」
普通の状態だと、もしかしてレッドに何か秘密が……と混乱しながら、この女に誘導されていたかもしれない。
でもここまでハッキリ偽りだと文字で出されると、誰の判断かは分からないが、歌番組の審査員がいるように思え吹き出してしまったのだ。
「嘘はついてないし、あの女……」
「――だから、見えてるって言ってるでしょ、時間の無駄なんだよ」
真っすぐに見据えるとまず女の顔が強張り、男達の動きもピタッと止まる。
「お前……狐人間か?!」
「違うわ!あんな性悪じゃないし、占い助手をしているだけ」
戦う気満々で構えていたが、背後からお化けのように現れた朧に、全員が心霊写真をみたように固まっていた。
「身代金どころか、お前らだと瞬殺されるぞ」
「俺達を侮るな」
黙っていた男が口を開いたかと思うと、片手が少し光っているので、サッと朧の後ろに隠れた。
「プロに依頼されるぞ、目をつけられたら地の果てまで追われ、恋人や家族知り合いまで皆殺しだ」
それ逆に犯罪だろとツッコミを入れたいが、狐は根性が悪いので、脅す時はこの位尾ひれをつけるのが当たり前なのかもしれない。
プロと聞いてからの四人は意気消沈したようだが、更に追い打ちをかける朧は、魔界の住人にしか見えない。
「そしてウチの客に手を出すなら、お前ら程度だとワシで事足りる……試してみてもいいがね」
朧の表情は確認できないが、四人が逃げるように去る姿を見ると、夢に出そうな位恐ろしいと想像がついた。
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