占い助手シロップ

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「絶対に狐の世界で悪事を働きたくない……」 「そう思って貰えるのは何よりの褒め言葉です」 ここから依頼が入る時は、他の世界と揉め事を恐れた時ぐらいだろうと後ろを歩いていると、レッドは三個目のアイスを食べていると教えてくれた。 「もしあいつらが凝りもせずもう一度手を出して来たら……」 「忠告はしましたし、そちらの手を煩わす事はない」 それ以上何も言わなかったが、朧が持つ水晶は私達の生活も丸見えなので、監視カメラよりもずっと怖い。 チカラを与える者の生活を暫く観察し、自らがそこへ赴くというのが、この人の務めだから。 「渡したチカラは変化を繰り返し成長していくので、これからも楽しみです」 子供でも生まれた風の喜び方だが、私はそう言われるのが一番不安になる。 事前に練習しても本番では死にかけるし、マグレで技が発動して助かったを繰り返すのも心臓に悪い。 「もう少し……自分とチカラを信用してあげるといい」 考えが見透かされるのも慣れてきたが、そんな化け物が言うからこそ、説得力もある気がしていた。 「分かりました、頭の隅に入れて頑張ります」 和やかな感じでレッド達と合流し連絡先を交換して別れたが、占いの館に戻ってからも数人の頭上を見て帰りの時間ギリギリまで働いた気がする。 次来る時もグミは忘れずにと見送られ扉を潜ると、家に帰ったようにやっと気を抜く事が出来た。 消毒の通路を渡りシャワーと着替えを済ませ、受付に向かうと、木村さんがいつものように笑顔を向けてくれている。 「お疲れだったね、部屋でコーヒーとパン食べて帰って」 顔から疲労感が出ていたのかパンも勧められたが、お腹は膨らんでるので、一口食べたら後は王子に任せようとドアを開けた。 中には瑠里とキセロがカレーぱんを勢いよく頬張っていて、ウトウトしていた懐のイナリも目を覚ました。 「新たな忍術は習得出来た?」 「う――ん、金縛りは大分解けるようになったかな」 瑠里は目を輝かせているので、恐らく何度もゲームをしまくって、その中で技をあみ出したに違いない。 「瑠里は有意義に時間を使ったようだね」 「楽しくって、寝るのが勿体ないくらい」 あんぱんで疲れを取り残りをイナリに任せると、受付でカタログを貰い、食欲旺盛なドラム缶が待つ家に急いだ。
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