占い助手シロップ

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「おかえりぃ、例の物は届いてた?」 「お待ちかねのパンフレットでございます」 案の定、カタログを受け取ると二匹の王子を一緒に抱きかかえ、リビングに入って行った。 「あたしらの扱い酷すぎない?」 「まぁこれがウチだよ……妙に優しくても物乞いかと思うでしょ」 言ってる事は分からなくもないが、必死で働く娘を金を稼ぐだけの道具に思われてるようで悲しくなる。 貧乏暮らしは生活だけでなく、心にもゆとりが無くなるのを肌で感じていたが、収入を得るようになってもダメ親は一向に変化がない。 私達はお金のおかげで通信制の学校で勉強したり、免許を取ったりと身近な所から努力をしているが、この人はこのままな気がする。 そういう親だと割り切るしかないが、せめてもの救いは王子達を飼うのを賛成してくれたぐらいだ。 テレビの間では早速ドラム缶がパンフレットを穴が開くほど見つめていて、将棋の対局でもするように真剣な眼差しをしている。 それを見ると呆れてコーヒーを淹れていたが、時代劇はいつもと少し違っていた。 「あれ、何か映像新しいね……」 夜勤明けだと早朝に帰る事が多いが、今日はズレ込んだので時間が遅いのもある。 「これがイケメン陰陽師、目の保養になるよ」 パンフレットから目を離さず言われたが、瑠里は河童の世界の興奮で眠れそうもないらしく、スナック菓子を片手にテレビの前に移動している。 私もつられるように隣に座ったが、イナリはもう半目で股を開き熟睡モードに入っていた。 珍しくキセロも疲れていたのか、前足に顔を乗せてスヤスヤと眠りについている。 「王子達、職場で女子に人気すぎて写真撮られまくりだったんじゃないの?」 「いや……そこまでじゃないと思う」 一緒に修行して占い助手してたなんて口が裂けても言えないので、フワッとした内容の返事しか出来ずにいた。 「今年は見た目も可愛いケーキが多いね」 毎年どこから目線だという感想を述べる母だが、暗記しそうな位に読み込んでいるので苦笑いが出る。 「どうせ生クリームのホールにするんでしょ」 「まぁ、それは確定なんだけどぉ」 去年の味をしめ違う種類と二つ買う気だとピンときたが、私は生クリームがあまり好きではないので微妙に助かっていた。
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