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「さっき聞いただろ?俺は高値で売れる、主人を助けてくれたら好きにするがいい」
「何処で買ってくれるかも知らないし、後から来る死神みたいな男に頼めば?」
断ってる風だが微妙に売り場を聞いている所が貧乏人らしいし、さすがは妹だと笑いが出そうになる。
「お前達は強そうだが、頭悪そうで利用するには丁度いい」
「やかましい!サラッと悪口入れただろ、死神に頼みな」
歩き出そうとしてキャップの隙間から薄目で見ると、グミの袋にもたれかかり二足で立つ背中に哀愁を感じる。
口は悪いが主人を思う気持ち伝わるし、私達が田村さんと出会ったように大切な存在なのかもしれない。
暴言を吐く奴の頼みなんて誰も聞かないだろうし、無実の罪で捕まってるなら濡れ衣だと訴えても、もみ消される可能性が高い。
何となく足を進めづらくなった所で、リーダーが近づいて来たので、簡潔に説明するとハッとしたように目を見開いた。
「そうか!お前らあのサプリ飲んだから言葉が分かるのか」
「今更かい!怖いだろ『あの子がそう言ってる』とか遠い目で言い出したら、そんなピュアな心の持ち主じゃないけど」
目の前で飲む姿を見たにも関わらず、天然なリーダーに溜め息を漏らすと、啄や和音さんも顔を近づけ珍しい動物見学をしていた。
「こいつ……中々可愛いな、忍者探偵Xでも子猿を肩に乗せてるキャラいたよな」
その言葉で瑠里も近づき猿の代わりには頼りないと、億の価値がある動物にケチをつける二人が滑稽に見えた。
「近づくなデブ、足を切断してダシに使うぞ」
私達だけ聞こえる言葉に腹を抱え笑っていると、何かに気づいたのか啄に睨まれた。
「何も言ってないじゃん、全部テルデ発信だから止めようがない」
フンッとその場を離れイザリ屋仕様のパンを頬張る啄をガン見しているので、お腹が空いてるのかもしれない。
放置されていたのでメンバーで固まりパンを食べていたが、少しちぎって檻の中に放り込んでおいた。
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