101人が本棚に入れています
本棚に追加
タラサから貰ったお守りはいつもとは違い、何か念が込めてあるが封印されていて、開けるのは時間がかかるとの事だ。
「危険かもしれないし、暫くこちらで預かって……」
「いえ、渡して下さい」
私達は『はぁ?』という表情をしたがこんな時、権力を振りかざし社長という立場を利用するのが親族だ。
「もし危険が伴う事があれば、末代まで祟ってやります」
「ちょ、ちょっと待って?!シリアスなワシの表情で何か読み取って」
キツネはどうしてですかという質問が欲しかったようで、恨み言が出るとは思ってなかったようだ。
「女性に対しての優しさが足りないと思います」
ワシほどのジェントルマンはいないと反撃してから、ブツブツと小言が入り出した。
「姑の嫁イジメみたいにグチグチ文句言ってないで早く要点を言って下さい、疲れてるんです」
瑠里がイラッとした表情で突っぱねると、拗ねるように咳ばらいをし、牛人間と滋さんの戦いに使われたチカラについて説明が始まった。
イザリ屋は独特の武器や技の名前があるが、ホワイトボードに書かれてもまずは読めなかった。
「倉稲というんじゃが、ウチの呼び方だからピンとこんでも仕方がない」
「そうですね……忍術とでも言われた方が分かりやすいです」
倉稲を使えるのは当然金刺繍で、以前から滋さんが自慢げに言っていたが、その中でも上のクラスになるらしい。
例外で金刺繍以外でも使える者はいるが、その中に田村さんがいると聞きホッとしていた。
困った事があれば相談に乗って貰えそうだし、何より心強く、今更だが代役に選ばれたのは似ている他にも理由があったようだ。
習得にはそれなりに時間もかかるし、大切な新人を失うのは怖いのでゆっくりと慣れて欲しいらしいが、本心かどうかは分からない。
名前の発端は最初に使えた者が親族ではなく、農家出の者だったので敬意を表してつけたようだ。
最初のコメントを投稿しよう!