101人が本棚に入れています
本棚に追加
「その方……生きてないのは分かってますが、当時に亡くなってますよね」
「――何故そう思う?」
親族が敬意を表すなんて謙虚な事言いそうにないし、教わってから口封じ……はさすがにないと思うけど、任務で亡くなった気がしたからだ。
返事は濁しておいたが説明が思ったよりザックリとした感じだった。
「難しい内容は抜きで、元々能力を持ち合わせた者がきっかけを貰ったとくれば、自ずと分かる事じゃ」
もっと勿体ぶって長話になると思っていたが、木村さんがイナリ達のオヤツを用意していると、社長はスッと部屋を出て行った。
「何かあったんですか?」
ヘルプには行きたくないけど反射的に聞いてしまうもので、木村さんも『バレた?』と言いながら王子達の前に器を置いた。
「疲れてるだろうから、少し身体を休めてあげて」
今日を除くとあと三日だが、それでも休みを取れるのは嬉しい。
「あの……少し本を読んで帰りたいんですけど」
「いいわよ、受付の裏で好きなだけ読んで」
瑠里達は先に帰ると、受付の後ろの棚から会社概要と歴史について記された分厚い本を取り出した。
初期の頃読んだが意味や用語も分からないので、殆ど飛ばしあまり頭には入ってない。
倉稲についても気になるので、牛の世界について書かれた本も頼んで出してもらった。
まずは刺繍のランクについてを見ていたが、やはりまだ言葉が分からない内容が多く、諦めて牛の世界についての本を開いた。
牛といえば草食で温厚と勝手に思っていたが、加減が分からないのか揉め事は残虐になるようだ。
特異な術を使う者が現れ出してからは、牛の世界で争いが激しくなり、陣地を奪った者は敵陣トップの頭を持ち帰り燃やすという祭りもあったようだ。
そしてそのチカラを与えたと書かれている文面の挿し絵に、キツネに似たイラストがあり鳥肌が立った。
最初のコメントを投稿しよう!