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「どうしたの?暗い顔して」
「いえ……聞けない方がお互い幸せっていうか、イナリとはそういう関係がいい気がします」
「仲もいいですし、オヤツが欲しい時なんて一瞬で分かりますから」
妹はどういう理由かは知らないが、意見は一致してるらしく、動物の話が分かるのは反対のようだ。
木村さんはクスッと笑い説明に戻り、青は身近ではない異世界の動物、赤はそれ以外だと言われすべて分かるのではないようでホッとした。
初期に体験した蛙の世界は執行のみだったので、何か文句を言われてるのは敵の表情で分かったが、すぐに灰となり消えてしまった。
「姉妹は怖いみたいだけど、自分のパートナーと話せるって便利だから使ってる人多いよ」
他の人はパートナーかもしれないが、私達にとってイナリ達は家族なので仕事の相棒でもないし、できれば巻き込みたくない。
ましてやキセロに至っては、普段から告げ口や文句を言ってるのが表情で分かるし、恐らくヤツは私達の言葉が分かるに違いない。
「イナリとはこのままでいいと思うんです」
「そっか、なら姉妹には必要ないのかもね」
サプリケースを閉じると、青薬についての説明が始まり耳を傾けていた。
青は無色チームが執行に入るレベルの、会話があまり出来ないタイプの世界で使う便利アイテムらしい。
場所を教えてくれる者は話が出来るが、潜入捜査等では不都合があるので、救護班と照ちゃん合同で開発されたアイテムらしい。
以前は三時間が限界だったが、改良版は一日持つので任務に使うにも都合がよく、追加で飲まなくてもいいのが売りらしい。
「形も小さくなって飲みやすくなってるはず」
「ふふん、当然だ!今回は俺もメンバーとして参加してるから最高の出来栄えになってる」
啄の体型にはイラッとするが、薬の腕は凄いと知ってるので、毒薬馬鹿とツッコミも入れず自慢させておいた。
「百合ちょっと飲んでみる?」
本当は嫌だが今回の任務に関係ないし、イナリもおらず間違って声が聞こえる事もないので、準備されたコップを受け取り飲んでみた。
スルッと入っていくしジェルカプセルなので、ウチにあるカプセル型の風邪薬よりも飲みやすい気がした。
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