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当然一緒に居るのは桜舞という事になるが、二人揃うと何か魂胆がありそうと勘ぐってしまう。
「百合さんよ、次の休みはウチに遊びに来なさい、そして何泊かして貰いたいが何日ある?」
「え、いや、休みは四日ですけど予定もあるので……」
「ああ、買い物の手伝いね、泊まりは二日でいい」
内容まで見破られてる……というか何でも見える神を騙せる訳もないが、一人だけの招待は怖いので妹の顔を見た。
「瑠里は河童の所で二日お世話になるといい、楽しい時間が過ごせますよ?ゲーマー同士でね」
子供は神楽を満喫し目をキラキラさせていたが、私は太鼓の音がお腹に響き、地獄へ誘う曲に聞こえてくる。
社長も抵抗しようとアレコレ頭で考えているが、まだ浮かんでこないという表情に見えた。
『頼む偽キツネ!今は社長という立場のアンタが止めるしかないんだよ』
心で手を合わせつつ神楽に目をやっていたが、まず口を開いたのはリーダーだった。
「こいつらはウチのチームに必要な存在だし、女一人でアンタの所に行くのは不安だと思う」
「そうか、ならお前もついて来てもいいが、何の役にも立たずむしろ足で纏いでしょうな」
朧の瞳は凱と違って何もかも見透かされてしまう怖さ……といっても、どちらも睨まれると恐怖しかないがタイプは異なる。
すぐに殺されるか白状してからかという位の差だが、どの世界でもトップに正面から睨まれると迫力があると改めて思う。
リーダーも強面の持ち主だが、目つきを比べても地獄の悪魔と町のチンピラでは相手にならない。
口をキュッと結んで言葉が出なくなるリーダーに、社長は肩に手を置いて頷いたが、期待する言葉は出てこない。
「早くいい案出せやじじい!こっちは止める台詞待ってんだよ」
「いや分かるがの、狐は性格悪いから何言っても返してくるじゃん?ワシがついて行く位しか思いつかんが日によっては難しくて」
社長だしこれから年末に向けて予定はびっしりだと思うので、さすがに無理強いしても申し訳ない。
「フフッ、そんなビビらんでも取って喰いはせん」
目を糸のように細めた朧は、本で見た挿し絵にそっくりで思わず身震いした。
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