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「小さいし引っかかる事なく飲めました」
木村さんは満足そうに頷くと瑠里にもサプリを渡し、飲まないと不公平だもんねと微笑んだが、お菓子じゃないんだからと顔が強張った。
瑠里は匂いを嗅いでから飲んでいたが、薬を飲むのが苦手なのにスムーズだったので、飲みやすいのは分かったが何の意味もない。
そのままにしておくとリーダー達にも勧めそうだったので、和音さんが話題を戻し今夜の任務の説明に変わった。
入るのは羊の世界で、貧しい者を捉え実験を繰り返しているが、人数が増えているのでお呼びがかかったらしい。
イメージでは温厚で寝る時に数える位なので癒しだったが、異世界の羊はそうではないらしい。
敵は月に一回報告会議に集まるそうで、そこを一斉に執行するのだが、三階建てなので上の階は金刺繍が入るようだ。
私達は地下から攻め上を目指すルートになるが、羊は頭がよく抜け目がないので、十分気をつけるようにと忠告が入った。
金刺繍が入る時点で手強い予感はしていたが、今回はリーダー達もいるので、いつもより若干心強いと思いつつパネル部屋に移動した。
リーダーがパネル操作してる間にリュックを渡され、緊張感が高まると木村さんは新作のグミを入れておいたと機転の良さも完璧だ。
久々に五人で門を潜り辺りを見渡すと、夜だがVRの世界旅行で訪れたスペインといった感じで、想像と違い牧草地ではなかった。
実際は国内ですら旅行した事はないが、VRのおかげで色んな国を回るのも休日の楽しみになっている。
国内も気になる所から周っているが、海外は景色や建物も普段全く目にしないので、つい夢中になってしまう。
そのおかげか似た光景を事前に見ているので、落ち着いて気配に集中出来るし、任務にも役に立ってる気がしていた。
「よし、行くぞ」
道に迷う事はないので、色んな意味で安心だったが、トラブルに巻き込まれやすい私が何もなく終わらないという事を忘れかけていた。
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