ミーちゃんとご褒美

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「そういうバネの本気度が、不自由なく育った者とは違うんじゃよ」 「……はぁ」 褒められてる気はしないし、むしろそんなバネより、苦労しない生活の方が嬉しかった。 親もしっかりしていてお金持ちで……そんな生活していれば、人を信用せず可愛くない性格に育たなかったかもしれない。 そんな事を頭に巡らせていると、朧はククッと笑ってから口を開いた。 「お前達は幸運で祖父母宅に近くに、お稲荷様が祀られた神社やお寺もある」 「神に守られた地域なんだね……」 珍しく桜舞が会話に入ったが、先程の恨みがあるので睨んでいると、本当は殴ってないし見せかけただけと訂正された。 「もうね、狐やそれらしき人は信用できない」 プイッと横を向いていたが、確かにお爺ちゃんが住んでる辺りは神社や寺が多いが、田舎だからと呑気な発想しかなかった。 「素晴らしい環境じゃよ、山の神々と暮らせる良い処で引っ越ししたい位じゃ」 田舎でコンビニもないからグミは買えないとつけ加えたが、朧には響かなかったようで第二ラウンド開始と号令が入る。 今度は用心したが、イナリはいつものように見物席を設けられ宙に浮かんでしまい、パートナー制は取り止めのようだ。 もしかしてあの後暴れて大変だったのかもしれないと思うと、ここは口をつぐんでおくのが無難だ。 桜舞は正面に立っているが、巨大狛犬は出さず牛人間のようにこちらに向け手を翳すので、思わず双棒に手を伸ばした。 「双棒は禁止!」 滋さんに忠告されるとどっちの味方だとイラッとしたが、意識を集中させ桜舞の動きを凝視していた。 「ほれ、感覚で分かるじゃろ」 「いや……そんな事言われても」 もう一度桜舞の方を見た時、手の先から水紋のように何かが広がっているように思え、薄っすらとした金色の光が浮かんでは消えている。 一瞬光に見惚れそうになったが、これから攻撃されるんだと気合を入れ直しても、アレをどう防いでいいのか分からない。 「牛のチカラは動きを止める……牛は重い……」 イメージが固まらないうちに桜舞からの攻撃が開始され、綺麗だった水紋がこちらに押し寄せてきた。
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