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「何色がいいかの?いうても奇抜な色は無理だが」
「お任せします……」
今日の練習は終わりと言われると、緊張が解れたのかどっと疲れが溜まり、王子にご飯をあげると瞼が重くなっていた。
リュックから寝袋を出しその場で仮眠していると、イナリも顔の部分から入ろうとするので、チャックを開け喉の辺りにくるように位置を調整した。
疲れすぎると空腹より眠気が勝るのかと思いつつ、イザリ屋のパンで回復すればいいのだがそのまま眠っていた。
いい匂いがして目を開けると、男性達が何か食べているのが背中を向けていても分かる。
イナリはもっと前から気づいていたようで、チャックを開けて出してやると、毛づくろいをしてやせ我慢をしていた。
「人が仮眠してる間に何コソコソ食べてるんですか?」
「あ、起きた?朧がハンバーガーにポテト食べたいっていうから」
急いで寝袋から出て近づくと、美味しそうなポテトと綺麗に包まれたバーガー類も沢山あり顔が綻ぶ。
「百合も好きなんか?」
「油の染みたポテト最高だよ、外食は勿体ないからしてないけど、たまに凄く食べたくなる一品だよ」
朧がくれたポテトを無心に頬張っていると、起きてすぐよくそんなに食べれるねと滋さんは呆れ気味だ。
「ボンボンの口には合わないかもしんないけど、私はこの庶民の味……ってこれはちょっと上物だね」
給料日等金が入る時にしか食べれなかったが、もっと安っぽい味だったので、ランクが上なのが分かる。
「ここのは素材にこだわって作られた……」
「はいはい、セレブでも食べれる感じね、なんやかんやで皆金持ちなんだから」
「百合も吸い込むように食べてるけどね」
最近スナック菓子でしか食べてないので、貧乏根性で一つでも多くとポテトへ手が伸びたが、イナリにも時折譲るのも忘れてはいない。
「バーガーはどれにする?」
勿論チーズだと答え、取られないよう太ももの上に確保しポテトに手を戻した。
「腹減っとっただけかの?」
珍しく心配してくれたようだが、ウチの家族は食事をすると大体調子が戻るので貧乏も侮れない。
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