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「さっきのは真実で正解だったの?」
「一応合ってるけど、何処見てそう思ったの?」
目が合ったら殴られそうなので、肩や心臓付近と伝えると、次は頭の上を見るよう指示を受けた。
マグレでガッカリとし、頭上に異変があれば気づいたかもしれないが、それが嘘だと分からなかったら首を縦に振っていたのかもしれない。
「頭の上見たら何か分かるの?」
「意識の集中を、もっと気軽に出来るようにする練習だから」
バイトの意図が分かり、次は気をつけようと座り直すと、桜舞はカウンターの下にしゃがみ箱からお菓子を出して口に入れていた。
あえて音がするスナック菓子を避け、パフが入ったチョコを選択してるので確信犯だ。
「自分だけいいなぁ、私らも何か食べたい」
「予言でパワーを使ったから、エネルギーの補給だよ」
チョコを一箱食べ終わった後、違う箱からケーキが出てくると、イナリも私の膝の上に降りガン見していた。
大して仕事もしてないのに褒美を貰えると思うなと、ケーキ一個を二口で食べ終え、ペットボトルのコーヒーを飲み澄ました顔で定位置に戻っている。
「ホイップは看板犬として癒しを与えてたのにね、次からはもっとアピールしていこうね」
座布団の上にそっと乗せると、ケーキが恋しいのか下を見る王子の姿で気合は入ったが、また一時間客が来なかった。
音もなく席の前に立ったのは、色が異常に白い着物姿の男性二人で、時代劇のチャンネルでたまに放送される昔話で描かれそうなキャラだ。
線のように細く長身だが目は不気味に輝いていて、まるで蛇のような……というか、人に近いタイプの蛇人間に違いない。
ホットケーキに促され席に着いたが、私の存在が気になるようでギロッと睨まれた。
助手だと説明してからも中々話出さなかったのは、明らかに邪魔だと言われてるようで、一旦後ろに下がろうとしたが止められた。
「もしウチのやり方が合わないようでしたら、隣にも占い師はおりますのでそちらへどうぞ」
そうでなくても客が来ないのに追い払うつもりかと内心ビクビクしていたが、男性は挑戦的な目で分かりましたと頷いた。
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