占い助手シロップ

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スイーツ馬鹿が甘い物を分けるのは珍しい事なので、褒められたと有難く受け取り、ホイップと机の下でかぶりついていた。 「これウッマ!さすがセレブのスイーツ馬鹿が選ぶ品は間違いないね」 「ちょっと悪口入ってるけど、まぁ蛇の技を自力で解いたのは偉かったよ」 技をかけても私の目の色を見た時点で普通なら止めるのに、アイツは気付かなかったし、百合が勢いに乗れば返り討ちだったと解説までされた。 「いち早く守ろうとしたのはホイップだけど、主人の練習の為に我慢してくれたよ」 助けようとしてくれた我が家の王子に、頬をスリスリして感激を表したかったが、イナリの口元に残っていたクリームが付き顔がベタつく。 結局あいつらは何を占いに来たんですかと聞いてみると、後ろの部屋がスッと開いて朧が手招きをしていた。 「ワシも一つ貰おうかの」 スイーツ目当てかいとケーキを渡すと、私達とは違い上品にプラスティックのフォークを使って食べ始めた。 アイツらはホットケーキを利用しようとしたが、助手が居る事を知り変更したが技がかからず、諦めて帰ったらしい。 「占いの館の正体を知ってるんですか?」 「知ってても桜舞の所に来たのはたまたまだの……一目で見抜けないのはトップの器でもない」 こんな普通のやりとりから気を張ってる狐の世界には、強者が沢山いるのも分かる気がする。 私達の普段のダラけようだと、すぐに誰かに暗示をかけられるか、何かしら攻撃を受け死んでるかもしれない。 いつも思う事だが、これからもイザリ屋で働いていけるのかと不安が過ると、お客が来そうだよと声をかけられた。 このブースは中々客が来ないが、入口付近で女性の話声が聞こえ、すぐ入って来ないのは隣と吟味しているに違いない。 私だってお金を払うなら……いや、そんな事に使う位ならケーキを買いたいと考える時点で女子力が低い気がする。 ヒソヒソ声がしていたが、焼きそばの匂いがしているのが気になり、ホイップも鼻をクンクンさせていた。 話し合いが纏まったのかブースに女性二人組が入って来たが、この人達は絶対に一般だと一目で分かった。
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