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「丁度よかった、これ食べたらラクレットのお店行こうと思ってたし……人数増えた方が美味しいもんね」
私は女子友ぐらいにしか思われてなさそうだが、ホットケーキとバターにホイップまで居ても、特に気にする様子はない。
「……てか、なんで皆で行くんです?」
小声で囁くと桜舞は店じまいする甲斐がこの先にあると、ラクレットを楽しみにしてるだけにしか聞こえなかった。
私もトロットロのチーズをかけてジャガイモを頬張りたいが、値段が幾らするのか想像もつかないし、映像でしか見てないので敷居も高い。
この団体に紛れておけばそこら辺はすべて解決しそうだし、夢の食べ物を味わえるだけでも胸が弾む。
まずは広場のテーブルに座り、残った焼きそばを片付ける所からのスタートだったが、あっという間に平らげる二人に思わず拍手をした程だ。
ペットボトルのコーヒーをグビグビ飲んでいる姿は一瞬オッサンが過ったが、別の視線を感じて動きが止まる。
「俺達は別行動にするね、近くにはいるけど」
「――はい」
赤ワンピを監視するといえばストーカーだろうが、男性陣が近くにいたのでは決行がズレ込むかもしれない。
今日だと未然に防げると言っていたので行動に移して欲しいが、ラクレットを食べ終わった後が理想的だ。
腹ごしらえをして戦いに挑むなんて最高だが、焼きそばを少しでも早く消化したい為、ひねりを入れた体操を始めていた。
「あの人達……何処かへ行くの?」
「先生方は後で合流されます、ここからは私達助手だけになりますが、近くで見張って下さってます」
「そうなんだ、でもこんな人気の多い場所で何か起こるかなぁ?」
当事者は全く警戒してないようで、昼間だからと安心してるようだ。
経験上、異世界で犯罪が起こる時に人目なんて気にする輩はいないし、目の前で堂々と銃を撃った奴もいた。
ここは狐の世界でも裏の会議場所なので、もしかしたら半端なく強い警備がいるのかもしれない。
ただ従業員入口でチェックしてくれたのはお面を被った怪しい狐だったので、過度に期待はしない方が良さそうだ。
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