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昨日の夜はダブルサイズのベッドでお互いに寄り添いながらおしゃべりをしていたのに、どうやらいつの間にか眠ってしまったみたい。
四月の第二週の土曜日の朝。薄く目を開けると、すでに夜が明けていた。
カーテンの隙間から白い光が差し込んでいる。そっと左手をかざすと、薬指のダイヤモンドの指輪がキラリと光った。
二週間前、三歳上の恋人の航からプロポーズされた。
場所は今いるこのマンションのリビング。航の借りている部屋だ。
ソファでくつろいでいたら、突然わたしの身体を自分のほうに向かせ、どこに隠し持っていたのか、指輪の入ったジュエリーケースを差し出してきた。
──「美織のこと、一生守っていくから、俺と結婚してほしい」
うれしさのあまり、涙ながらに「はい」と頷いたら、薬指に指輪がはめられ、痛いくらいに抱きしめられた。それから、「よかったあ、めちゃめちゃ緊張したよ」と心底安心したように言って、航はわたしの首もとに顔を埋めた。
プロポーズの言葉を思い出し、胸がトクンと鳴る。この指輪も、もらった日の思い出も、全部大切な宝物。
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