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川畑さんは研究室のドアを開け、「じゃあね」と手を振って入っていった。わたしも自分の研究室に戻る。
わたしは自分のデスクで川畑さんの言っていたことを考えていた。
川畑さんの言う通り、この世の中、浮気や二股なんて珍しくない。女性らしさも大切だと思う。そこはすごく共感できた。
だけど航に限って浮気なんてするわけない。だって、いつもわたしの心配ばかり。仕事が忙しいのに自ら進んで迎えに来てくれるし、ベッドではこれでもかっていうくらい愛してくれる。
航しか知らないわたしには、ほかの男性がどうなのかは知る由もないけれど。友達の話などから察するに、たぶんわたしはかなり愛されているのではないだろうか。
ただ、航は黙っていたって女性が寄ってくるタイプなのが心配の種。女性からのアピールがすごいらしいから、たぶん過去の女性遍歴は相当あると踏んでいる。いくら追及しても本人が口を割らないというのはそういうことだ。
まあ、過去のことはしょうがないとしても。航と一緒にいる限り、そういう不安はこの先も続くような……?
「あー、だめだめ!」
わたしは起こってもいないことで悩んでいる。
そうだよ、航はわたしを裏切らない人だ。だから気にするだけ無駄! だいたい、こんなのは贅沢すぎる悩みだ。いや、悩みともいえないよ。
わたしはそう思い直し、午後からの仕事に集中した。
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