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ふと目を開けると、外はすっかり暗くなっていた。
大きな窓の向こうに都会の街並みが見おろせ、遠くにビルの窓明かりが光の粒のように見える。
いつの間にか眠ってしまったらしい……?
「嘘!?」
ハッとして飛び起きると、航がミネラルウォーターのペットボトルを手にしたまま、けだるそうにベッドのヘッドボードに背中を預けていた。
「今、何時!?」
「六時半を過ぎたとこ」
「やだ! 二次会、はじまっちゃう!」
どうやら寝ていた時間は三十分にも満たないほど。二次会の会場はここからタクシーで七、八分もあれば着く。だけど、あまりにも時間がない。
「少しぐらい遅れても平気だって」
「お水飲む暇があるなら起こしてよ。あーん、シャワー浴びたかったのに!」
「浴びればいいだろう。どうせ新郎新婦も七時には間に合わないよ」
航はそう言うと、のんびりとペットボトルに口をつけた。
「俺も浴びようかな、汗かいたし。美織、せっかくだから一緒に浴びるか」
「こんなときにふざけないでよ」
「それはこっちのセリフ。終わった途端、さっさと寝やがって」
「……それは、ごめん」
「謝ってすまそうなんて、調子いいなあ。前に先に寝た俺に向かって、デリカシーがないだの、自己中だのって怒ったの、どこのどいつだよ?」
「しょうがないでしょう。ここのところ忙しかったし。それに夕べは雑誌を見ながら、お色直しはどんなドレスにしようかなとか、ブーケはどういうアレンジがかわいいかなって想像してたら、寝るのが遅くなっちゃったんだもん」
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