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「え、えと・・・?」 ほんの少し怯える僕に、宝来さんはいやと呟き顔を背けた。僕はおかしな態度を取る宝来さんが気にはなったけど、時間も差し迫っているから先に衣装を決めることにした。 「シンプルなのはありませんか?」 「シンプル?」 「はい。上は黒のコートを羽織るので、中は拘らなくても大丈夫です」 「・・・コートねえ」 「ダメですか?」 「ダメって言うか、シロはふんわりとした感じの方が似合うからな。相棒がスーツだからってカチッとしたタイプは止めておいた方がいいぞ」 そう言って森さんが持って来てくれたのは、裾の大きく広がったコート。 「ハイネックのダボっとしたセーターにジーンズはどうだ?」 「どうだって言われても・・・」 僕は自分の姿を見下ろした。今まさに森さんが口にした格好だ。色味はクリーム色に青って取り合わせだけど。 「あと・・・神父に坊さんと、チャイナドレス。ゴスロリにメイド・・・も、似合いそうだがスカートはいやだよな?」 「いやです」 「だよな。・・・執事の衣装もあるぞ?死神らしくマントでも羽織るか?」 色んな衣装を勧めてくれるけど、いまいちピンと来なくて、僕はうーんと唸った。 「あと、変わり種で、マリンルック、甲冑、忍者にアラブの衣装だろ?腰ばき一枚の鬼グッズもあるぞ」 宝来さんはぶっと噴き出し「腰ばき一枚・・・」と、呆然とした顔で呟いた。僕はそんな彼を無視して、何だか妙に愉しげな森さんを睨んだ。 「もちろん、ツノ二本付きだ」 そんなの要らないってば。
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