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宝来さんとバディを組み始めて10日が経った。 勤務は夜勤に入っている。夜は昼間と違い、それほど慌ただしくはない。それでも仕事がないなんて日にはお目にかかったことはないのだけど。 宝来さんとは、上手くやっていると思う。 ・・・多分。なぜ曖昧かと言うと、殆ど話さないからだ。仕事の話はする。弾むとまでは言わないけど、『そうか』『そうだな』で即終了する会話よりはマシだ。と、思う。 沈黙が苦痛な訳ではない。漂う雰囲気に拒絶は感じられないから、厭っている訳でもないと思う。ただ、打ち解けてくれない。 カオさんとは、色んな話で盛り上がっていたから、余計に宝来さんに戸惑ってしまう。 頼りにはなる。安心感は半端ない。今の僕は彼に対して悪感情も持ってない。持ってないどころか、もっと仲良くなりたいとまで思っている。 でも、どうすれば打ち解けて貰えるのか分からなくて、二進も三進も行かなくなっているのが今の現状だ。 「シロ、宝来」 部長代理の赤松さんが、僕らを手招きした。夜勤の仕切りは赤松さんの担当だ。この人も部長に似て、仕事の振り方に容赦がない。 「対象者は、佐々木信広。年は35歳。死亡時刻は23時18分40秒。痴情のもつれで妻に刺されて死亡。回想、浄化、討伐に連絡。闇落ちしかけている場合もあるから心してかかれ。ヤバイと思ったら、浄化討伐に任せて逃げろ。ーーいいな」 赤松さんは、宝来さんに視線を向けた。 「宝来、お前の今の所属は回収だ。忘れるなよ?」 「はい」 鋭い目を向ける赤松さんを見返し、宝来さんは頷いた。
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