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「な、何、この子・・・」 「俺のバディだ」 宝来さんの視線を感じて顔を上げる。本日二度目になる優しい眼差しと、『俺のバディ』って言葉にドキドキした。 「な、何でただのバディに手を払い落とされなきゃならないのよ」 「そりゃ、その子の許可がいるからだろう」 聞き覚えのない声が背後から聞こえて、僕は視線を向けた。そこには宝来さんよりは若干低いけど、背の高い精悍な顔をした男性、向井洋輔さんが立っていた。 「げっ、向井」 「よう、久しぶりだな。向井」 高坂さんの嫌そうな声と、親しみのこもった宝来さんの声が対照的だった。 「ちょっと向井、何でこの犬の許可が必要なのよ!」 僕はキャンキャンと喚く高坂さんに首を竦めた。 「さあな。しょーもない詮索はおいといて、仕事するぞ。ーー対象者はかなりヤバイな」 向井さんは顔を引き締め、闇に捕らわれかけている彼女に視線を向けた。 「半分以上はやられてるわ。浄化には手に負えない」 「ああ、俺らの領分だな。ーー綾」 向井さんは、傍の青年に声を掛けた。銀縁眼鏡の似合う、酷薄そうな男だ。この人は見たことないや。 「回収並びに、浄化の皆さま方は今すぐここを退いて下さい。これから討伐を開始します」 「あの人の魂はどうなるんでしょうか」 僕は向井さんに訊ねた。 「半分以上喰われてるから浄化は無理だ。例え、出来たとしても精神が病むだろうな。宝来くらい精神力が高けりゃ、自我も保てるだろうが・・・ありゃ、どう見ても無理だろ」 グオオッと凄まじい声を上げる彼女を顎でしゃくった。 宝来さんくらい・・・?僕はどうしてここで宝来さんの名前が出て来るのか分からなくて首を傾げた。
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