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「体が動くようになったから、自分で歩けます」 だから降ろして下さいと、お願いしたのに「いや、このまま運んで行く」と、断られた。 「重いでしょ?」 「いや、軽すぎだ。シロはもっと肉を食べて太った方がいい」 それはカオさんにも良く言われてた。 『シロは痩せ過ぎなんだからもっと食べなさい』って。 「疲労は魂にも負担が掛かる。体力を付ける為にも一杯食え」 ぶっきらぼうな言い方だったけど、本気で心配してくれているのは分かった。僕は照れくさくて、でも嬉しくてエヘヘと笑う。 「シロ・・・尻尾を振るな。痛えよ」 バシバシと宝来さんの体を、僕の尻尾が叩いていた。苦情が出たから何とかしたかったけど、僕にはどうすることも出来なかった。 医務室の先生は、背が高く目鼻立ちの整った美人さんだ。白衣を羽織った姿はまるで天使のようで、彼女会いたさに通い詰める人もいるらしい。 でも、中身は下品なサディストで、見た目に騙され迷い込んだ子羊を美味しくいただいている・・・らしい。 これは全部カオさん情報だから、本当のことは分からないんだけど、カオさんと先生は仲良しだから多分本当だ。 「あら、マサ。忘れ物?・・・あら、あら、カオのお気に入り君じゃないの。手なんか出したら殺されるわよ?」 「話はつけてある。何の問題もない」 ・・・話はつけてる?僕は意味が分からなくて問いただす目を宝来さんに向けた。無視されたけど。 「へえ?粘り勝ちって奴ね。でも、ここでコトに及ぶのは勘弁してくれるかな」 「違う。こいつは今、俺のバディだ」 「ああ、そっか。そうだったわね。・・・なるほど、分かったわ。そこのベットに寝かせて」 俺のバディだけで意味が通じたらしく、先生は頷くと診察台の上を指差した。
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