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僕の脳裏に仲良く戯れ合う二人の姿が浮かぶ。 僕には見せたことのない顔を辰さんには見せるのかな。恋人同士なんだから当たり前だと思うのに、宝来さんが愛おしむように目を蕩けさせて、辰さんを見つめる姿を想像するだけで、胸の奥がぎゅっと掴まれたような痛みを感じた。 湧き上がる不快感の意味が良く分からなくて、戸惑いながら眉を顰めた。 「色々と難しいわよ」 「承知の上だ。それでも欲しいと思ったんだから、仕方ないだろ?」 「まぁね」 優しい声音が胸に突き刺さった。どうしようもないほど恋い焦がれているのだと、宝来さんの声が告げていた。 辰さんへの想いを、僕はこれ以上聞いていたくなくて「うんっ」と声を出した。ゆっくりと目を開き、起き上がる。 「目が覚めたみたいね」 「ごめんなさい、寝てしまいました」 「いいのよ。その方がシロくんの魂にも負担が掛からないから寝て貰った方が良かったの」 「僕はどのくらい寝てたんですか?」 「ほんの10分ほどよ。体の調子はどう?」 「はい。楽になりました」 胸の奥に巣食うモヤモヤを押し殺しながら僕は答えた。 辰さんを羨む僕に気付かれたくなかったから。
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