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医務室を出た僕らは服を着替える為に備品庫に向かった。 「シロ、今日はこのあとメシを食ったら俺の部屋に来い」 その言葉にドキリとした。え?と見返す僕に「先生から一緒に居るように言われたろ?」と、宝来さんに言われ、そういえばそんなことを言ってたなって、埋もれた記憶を掘り起こす。 「お前の家でもいいぞ?」 「僕の家はダメです」 僕は即座に首を振った。あの部屋に誰かを入れるなんて冗談じゃない。ブンブンと激しく首を振る僕を、宝来さんが目を眇めて見る。 「俺に見られるとマズイもんでもあるのか?」 何だかいつもより声が低く、少し不機嫌に聞こえるのは気のせいかな。 「男でも連れ込んでんのか」 唸るような声音に、僕は目を瞠る。どうしてそこで男。自分が辰さんと付き合ってるからと言って、僕の相手まで男の人にするのはおかしい。 「女の人とは思わないんですか?」 「それはないな。お前から女の匂いが一切しない」 まぁ、そうなんだけどね。本当のことなんだけど、断言されれば腹も立つ。 「そ、そんなことないし。ぼ、僕だってモテるんだから。女の子に可愛いって良く言われるんだからね」 これはホント。家に持ち帰って飾って置きたいだの、癒されるだのと、趣旨が大きく違ってはいるけど、持て囃されているのは事実だから。 「ああ、そうだな。確かに、シロは可愛いな」 揶揄うでもなく真顔で肯定されて、僕は体内に流れる血が逆流を起こし、カァーと顔が赤くなるのが分かった。
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