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僕は赤くなった頬を宥めるように擦りながら、宝来さんを睨んだ。
そんな僕の視線を平然と受け流し宝来さんが、で?と問い掛ける。その余裕な態度が腹立たしい。
「何がですか?」
「俺を家に呼べない理由だ」
「うっ・・・」
僕はそっと宝来さんから視線を外し、何事もなかったかのように歩き出す。
「理由はなんだ」
「食事は何を食べますか?」
「理由だ」
「僕は和食が食べたいです。宝来さんは?」
「理由を言え」
宝来さんがしつこい。必死で誤魔化そうとする僕にしつこく問い質してくる。
「・・・・・・です」
「聞こえない」
「部屋が散らかっているんです!」
僕は半分キレ気味に叫んだ。
「・・・少々は気にしないが?」
「少々?」
片眉を上げて見上げれば、宝来さんの口元がヒクリと引きつった。
「・・・・・・じゃないのか」
「ないです」
キッパリと断言した僕に「男を連れ込む以前の問題か」と、呆れた目を向けられる。
だから、どうして男限定なんだ。
「シロは掃除が苦手か」
「苦手って言うか・・・どうすればいいのか分からなくて・・・」
僕は曖昧に語尾を濁した。片付け方が分からない。以前はカオさんが、時々、部屋を掃除に来てくれていた。
出した物を使ったら、同じ場所にしまうんだって教えてくれたけど、でも、しまおうとしても入らない場合は?
溢れた物をどうしたらいいのか分からなくて、途方に暮れる。そして、結局片付けられなくて部屋が散らかっていくんだ。
「そうか・・・じゃあ、今回は俺の部屋だな。シロの部屋は、時間に余裕がある時にでも行って一緒に掃除するからな」
「え?」
「え?じゃねーよ。手伝ってやるから覚えろ。そんな顔して汚部屋とか勘弁しろ」
・・・顔?顔は関係ないよね?僕の疑問を読み取った宝来さんが生暖かな笑みを浮かべた。
「ま、ある意味らしいけどな」
どういう意味さ。僕はぶすくれた顔でプイとそっぽを向いた。
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