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食事を終えた僕は宝来さんの家に招待された。宝来さん家は1DKのマンションだ。少し古ぼけているけど、部屋の中はモデルルームのように綺麗でお洒落だった。 ガラスの戸棚にズラリと並べられたお酒の瓶と、左端の壁に寄せられるように置かれた大きなベットが一際目を引く。 僕の部屋を掃除に来てくれるって言うだけはあって、宝来さんの部屋は散り一つ落ちていない。清潔感に溢れていた。 僕は慌てて尻尾を引き寄せ抱き締めた。 「どうした?」 「・・・毛が落ちるかもしれないから」 「そんなこと気にすんな。別に構わない」 宝来さんがフッと瞳を和ませて笑う。 (あ・・・また見たことのない顔だ) 「何か飲むか?シロは酒飲めるのか?・・・いや、今日は飲まない方がいいか」 座ってろと言われて、フローリングの上に置かれた毛足の長いラグの上に座る。目の前にあるガラスのテーブルには耳をペタリと倒し、心許ない表情をした自分の顔が写り込んでいた。 「落ち着かないか?」 お茶の入ったペットボトルを僕の前に起き、宝来さんが向かいに座る。 「綺麗過ぎて、汚してしまいそうで・・・」 僕は抱き締めたままの尻尾に顔を埋めた。毎日ブラッシングはしてるけど、どうしても毛が抜けてしまうから、嫌がる人も多いんだ。 「汚れたら掃除をすればいいだけだ。マメに掃除はするが、神経質って訳じゃない。だからそんなに萎縮するな」 優しい声音にホッとしながら頷いた。
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