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◆ 「ーーちゃん。シロはどうするの?」 お母さんが僕を持ち上げて男の子に訊ねた。 「捨てていいよ」 男の子はチラリと僕に視線を向けたあと、興味なさそうに言った。 「汚いし、ボロボロだし、もういらないや」 僕が汚れているのも、ボロボロなのも全部君のせいなのに、そんな酷いことを言うの? 僕を大好きって言って抱き締めてくれたよね?尻尾がふさふさで可愛いって褒めてくれたのに、もういらないって言うの? 「あんなに気に入ってたのに。仕方ないわね。じゃあ、捨てるわよ?」 お母さんの言葉が胸に突き刺さった。簡単に捨てるなんて言わないでよ。僕はぬいぐるみだから、心がないって思ってるの?何を言われても、何をされても何も感じないと思ってるの? 大好きだったのに。やっと僕の居場所を見つけたと思ったのに、僕はまた捨てられるんだ。 ザァーザァーと冷たい雨の音が聞こえてた。袋に入れられて、他のゴミの隙間からビニールの袋越しに暗い景色を見ていた。 悲しくて、切なくて涙なんて出ないはずなのに、僕はずっと泣いていた。 雨の音がうるさくてイライラした。あったかい毛皮に包まれているはずなのに寒くて、心が千切れそうなくらい悲しかった。
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