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「僕、お風呂に入って来ます」 僕が起き上がると、宝来さんは僕の肩を抱き寄せ、そのままベットに横になる。必然的に僕は宝来さんの隣に密着した状態で横になった。 ドキリと鼓動が跳ねた。 「え・・・宝来さん?」 「今日はこのまま寝ろ。風呂は起きてから入ればいい」 「で、でも」 僕が戸惑った顔で見上げると、宝来さんは電気を消す。僕の後頭部に手を回し自分の胸元に引き寄せた。僕の体は宝来さんの体にすっぽりと抱き竦められ、僕の体が緊張に強張り、耳と尻尾がピンと立つのが分かった。 背中に回った逞しい腕と顔に密着する胸元に、どうしたらいいのか分からない。心臓があり得ないくらい騒ぎ出して頭の中はパニック寸前だ。 「ぼ、ぼぼ僕、向こうで寝ます」 「客用の布団なんてないから、ここで寝ろ」 「だ、だったら、もう少し離れて下さい」 宝来さんは身動ぎする僕を難なく押さえつけ更に強く抱き締める。 「このままだ。先生も言ってたろ?くっ付いていた方がお互いの魂が安定するって」 「先生が言ってたのは、一緒に居た方が、ですよね?」 「似たようなもんだ」 全然違うから。 「いいから寝ろ」 頭をぐしゃりと撫で回されて、耳の付け根を優しく揉み込まれた。それだけで、僕の体から力が抜ける。こんな状態じゃ落ち着いて寝られる訳がないって思ってたのに、宝来さんの温もりが僕に馴染み始める頃には僕は睡魔に襲われていた。 宝来さんの腕の中は暖かくて、すごくすごく安心出来たんだ。 「俺はお前をどうしたいんだろうな」 眠りかけた僕の耳に宝来さんの呟く声が聞こえた。でも、半分夢見心地の僕には何て言っているのかまでは、分からなかった。
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