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ーー夢の中で僕は見知らぬ男に合った。陸橋の上で昏い目をした男はブツブツと呟きながら、じっと車の流れを眺めていた。僕は声を掛けることも出来ずに、その姿をぼんやりと見つめていた。 「ーーーーだ」 不意に男が僕を振り返り、何かを話しかけてきた。僕は何を言われたのか分からなくて「え?」と聞き返す。 「ーーーたって言ったんだ」 「え?なんて言ったの?」 いつの間にか見知らぬ男は宝来さんになっていて、僕に向かって「メシが出来たって言ったんだ」と、告げた。 僕がパチリと目を開ければ、不機嫌そうな顔をした宝来さんが、僕を真上から覗き込んでいた。 「起きたみたいだな。メシ食うぞ」 「・・・メシ?」 戸惑う僕に「そうだ」と頷くと、僕を置いてさっさとキッチンへと向かう。急いで起き上がった僕は、クラっと一瞬目眩を感じ頭を抑えた。 でも、それは本当に一瞬で、直ぐに収まった。 鼻先に甘い匂いが漂ってきた。匂いの元を探ろうと目を向ければ、宝来さんが皿を手に部屋へと入ってきた。 「ホットケーキだ」 僕はクンクンと鼻を鳴らし匂いを嗅ぐ。甘く優しい匂いに顔が綻んだ。尻尾がブンブンと左右に揺れる。 「手を洗って来い。食べるぞ」 「はい」 いい子の返事を返して、僕は洗面所へと向かった。
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