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意味が分からなかった。何で彼が?どうして僕じゃなくて城戸くんが・・・って、そんな疑問が頭の中でグルグル回っていた。 だって、僕だって回想に行きたかった。毎年、人事からの要望書にも第一希望から、第三希望まで全ての欄には回想係って書いて提出している。 それなのに、入って直ぐの城戸くんが僕より先に異動だなんてあり得ない。 そこまで考えて、僕はハッと息を飲んだ。 「もしかして城戸くん。上司の弱みでも握った?」 だったら今すぐに教えて欲しいと、僕は期待を込めた目を彼に向けた。 「ま、まさか。違いますよ」 慌てた顔で否定した城戸くんを、怪しむかのように睨め付ける。だって、それしか考えられない。 僕は無言のまま城戸くんを見つめた。視線には、早く白状しろって、そんな気持ちを込めた。 城戸くんは困った顔で笑ったあと、ここだけの話にして下さいねと、前置きをする。 やっぱり弱味を握ったんだな。と思った僕に、彼は意外な話をし始めた。 「一緒にバディを組んでる宝来先輩に口添えをしてもらったんです」 「え・・・宝来さんに?」 僕は目を瞠った。頭の中には、鋭い目をした男の顔が浮かぶ。 「はい。以前、飲みに連れて行って貰った際に、本当は回想を希望していたんだって話をしたことがあったんですけど、それをどうやら覚えていてくれたらしくて、この前、お前は優し過ぎる。回想の方が向いてるから上司に話を通してやるって言ってくれたんです。そしたら昨日、部長に呼ばれて行ったら、急だけど週明けに異動になったからって、言われました」 城戸くんはそう言って嬉しそうに笑った。
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