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「一先ず、ベットを使えるようにした方がいいな」
ベットは昨日の夜、起きたままの状態になっている。その上にはパジャマが脱ぎ捨てられていた。
「あ、じゃあ、シーツを交換します」
「予備があるのか?」
「はい。一枚あります」
「・・・どこにあるのか分かるのか?」
「あ・・・多分、クローゼット?」
指摘されて、僕は曖昧に答えた。視線を向けられ、あははと笑う。
「えと、探ってみます」
以前、カオさんがそこにしまってた記憶がある。あれ以来、触ってないからきっとあるはず。
僕は作り付けのクローゼットの前まで行って、半開きになっていた扉を開け放った。途端、バサバサッと詰め込まれていた洋服が落ちてくる。
「ーーうわっ」
「シロ!」
僕の焦った声と宝来さんの慌てた声が被さった。腕を引かれて、救出される。
「大丈夫か?怪我はないか?」
「あ、はい。軽い物ばかりだったから大丈夫です。すみません」
宝来さんは、僕の頭に乗ってたシャツを取り除いてくれた。
「ちょっと、待ってて下さいね」
開け放たれたクローゼットの中も、ぐちゃぐちゃな状態だけど、きっとあるはずたからと、僕がそう言うと「いや、いい。動くな」と、腕を掴まれた。
えっ、あっって戸惑う僕をベットまで連れて行くと、上にあるパジャマを渡される。
「着替えて来い。何もかも起きてからだ」
有無を言わさぬ口調で言われ、僕は逆らえるはずもなく、パジャマを受け取った。
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