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するり、和泉くんの壁についてない方の手が私の頬を撫(な)でる。
銀縁眼鏡の奥の目が細くなり、ゆっくりと唇が近づいていて……。
「なあ!
ほんとにこんなことしなきゃダメか!?」
「えー」
壁ドン姿勢をといて、がっくりとしゃがみ込んでしまった和泉くんは、耳の先まで真っ赤になっている。
「だって銀縁眼鏡の和泉くんはかっこいいから、ドラマの小渕くんみたいに迫って欲しいんだもん」
「……」
黙ってしまった和泉くんのあたまからはしゅーしゅーと湯気が立ち上っている。
……本当は。
そういう和泉くんの反応が可愛いから、見たいだけなんだけど。
これは秘密。
【終】
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