once in a blue moon

14/24
前へ
/24ページ
次へ
「走って間に合うってことはこの付近?」 「え?あ、うん。駅の方のボーリング場で待ち合わせしてるんだ。」 「了解。しっかり掴まってろよ?」 掴まれって言うけど、何処に掴まったら良いんだろう?と思いつつ、腰にしがみついてメット越しに、 「あぁ。うん。ありがとう。」 と、伝えた。ちゃんと聞こえたかな? あー。今度はちゃんとありがとうって言えた! でもなんで久し振りな人間を送るんですか? という疑問を持ったけどまた聞けばいっか。で、出発した。 バイクなので直ぐに着いちゃいました。 降りる時も抱き抱えられて降ろされた。 何故にそんなに紳士なんですか?と、じーっと見てしまっていたら視線に気付いた彼は、 「ん? どうした?」 「えと、送ってくれてありがとう! 助かりました。」 「どういたしまして。時間に間に合って良かった。俺が呼び止めたから時間無くなったろ?」 ポンポンと私の頭を軽く撫でる。 「そ、そんなこと無いよ。送ってくれたからちゃんと時間前に着いたし。」 「なぁ、今度ゆっくり話したいからLINE交換しないか? スマホ貸して。」 「あ。えと。」 彼の出した手に狼狽えていると 「ダメ?」 「えと、ダメじゃ無いです。はい。」 と、言われるままにスマホを渡してしまった。 LINEの交換だけかと思ったらちゃっかり電話番号も登録されていて。 「俺のケー番『ノブ』で入れといた。じゃ、夜連絡するから。」 「あ。言っとくけど私、あまりマメじゃないから!」 「それって牽制?」 「けんせい? ん? えと、事実だから。」 「そうなんだ。別にマメじゃなくてもいいよ。じゃあ、女子会楽しんで来てね。遅くならない内に帰るんだよ?」 「うん! ありがとう。」 久し振りの再会を果たした彼は何故か私を子供みたいに扱う。見た目が子供だから?もういい大人なんだけどな。 メットを再び被って去っていく後ろ姿はカッコ良かった。 おっといけない。待ち合わせ場所は一階だった。今いる所は地下駐車場。エレベーター乗って行かなきゃね。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加