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さっきの状況を幸人さんは見ていなかったのだろうか。幸人さんの後ろを見ると俊さんの表情がなくなっているのをまた見てしまった。私の視線に気づいたのか俊さんはすぐに笑顔を浮かべる。
「そうなの?咲良ちゃん」
初めて俊さんの口から出た自分の名前がどうにもいい意味を含んでいるようには感じられなくて、とりあえず幸人さんの知り合いが怖いと思っていることを幸人さんに悟られないよう慎重に笑みを作る。
「大丈夫です。少しびっくりしちゃっただけで。幸人さん、俊さんありがとうございます」
「いえいえー」
幸人さんはまだいぶかし気だ。
「おい、こむす」
幸人さんに話しかけられる前に動こうと、カウンターの中に入る。
「私、コーヒー淹れてきますね!」
そういって逃げるように奥に逃げた。
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