第一章

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「そうだよ。幸人は俺に対する優しさが必要だ」 俊さんは満足げにうなづきながら言う。それを見て幸人さんがめんどくさいとでもいうかのように顔をそむけた。それを見た俊さんが楽しそうに笑い幸人さんの肩に手をのせる。幸人さんの顔が一層険しくなった。 「俊さん、そんなことをしたらまた」 言い終わる前に幸人さんが俊さんの腕を取り、ひねりあげた。 「痛い!幸人、なんか昔より乱暴になってないか?」 「そんなことはないと思うが?」 幸人さんはにこりともせずに腕を離す。俊さんは自分の腕をさすりつつも笑顔だ。 「あの、二人はどんな関係なんですか?」 「俺たちは親友だよ」 「こんな奴の言うことを信じるな。小娘。こいつと俺は赤の他人だ」 「赤の他人ってひどいなぁ。俺と幸人は学校が同じだったんだよ。俺は今も通ってるけどね」 「それは」 留年ってことかな? 「ちなみに留年じゃないからね」 「そうなんですか?」 「うん。俺は大学院に通っているんだ。な、幸人」 「そうだな。こいつは大学院に通っている。だから小娘と同じだ」 「あ、そうですね」 「え!?咲良ちゃん大学院生なの!?見えないなぁ」 「違う。小娘は大学生だ」 「え!?あぁ、そういうことか。幸人、言葉が足りないよ」     
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