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「それは十分こまめに見ているといえるのでは。私なんて主に見るのは朝起きたときと寝る前ぐらいですよ」
「俺の携帯に連絡入れるのはほぼ川端さんだからな。あの人もそれなりに忙しいから、そんなに頻繁に来ないし、来たとしても義務的なことがほとんどだからな」
「なるほど」
「話し戻すぞ。それで、携帯を開けたらそこにはあいつからのメールが」
「内容は今から来るみたいな感じですか?」
「大体そんな感じだな」
「それで、幸人さんは俊さんに会いたくないから急いで逃げようとしたと」
「本当なら店を閉めたいところなんだが、そういうわけにもいかないしな。でも、小娘が店番しているから俺が表からいなくなっても大丈夫だろう?」
「私は幸人さんが消えてずいぶん焦りましたけどね」
幸人さんの同意を求めるような視線に対し、私は苦笑した。
「一人は心細かろうと思って一応電話番号教えただろう」
「それはそうですけど。まぁいいです。続けてください」
「それで俺は自分の部屋に引きこもったって言うことだ」
「はぁ。やっぱり自分の部屋にいらっしゃったんですね」
幸人さんがうなずいたのを見て私はひそかに息を吐く。顔を上げ、幸人さんが再び口を開くのを待つが一向に口を開く気配がない。
「幸人さん?」
「なんだ?」
「それで終わりですか?」
「そうだが?」
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