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第一章
「ふぅ」
眠やで私は執筆をしていた。ここから先が思いつかない。実在の人物から話を作ってるからなぁ。隣にいる幸人さんをちらりと見る。
「最近、あまりお客さん来ないですよね」
「そうだな。でも、来ないほうがそれ書くのはかどるんじゃないのか?」
「いや、そんなこともないですよ。アイデアが浮かんでこなくて現に今行き詰ってます」
「そうなのか?」
幸人さんはまた本に視線を落とす。静かだ。カチコチと時計が時を刻んでいる音がする。疲れたなぁ。あきらめてペンを置いた。今日は一限だけ学校で授業があった。一限だけ授業を受けるというのも、それだけのために学校に行っている感じがするので精神的にかなり疲れる。眠い。自分の視界がだんだんぼやけてきて、ついにもうこれはあらがえないかもしれないと思い始めたころ、頭を軽く小突かれた。
「あ、すみません。寝てしまって」
「いや、それはいい。それはいいんだが」
幸人さんはそういった後どもる。
「どうかしましたか?」
幸人さんが急にがたっと立ち上がった。
「小娘、早く携帯を出せ」
「はい?」
「いいから早く」
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