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衝撃的なゲーム開始から二時間半ほど。私は部屋に戻り風呂に入っていた。
山奥のためか、残念ながら、テレビはずっと海外の風景とどこかで聞いたことがあるクラシック音楽が流れていた。他にすることがない。普段よりもかなり長めに湯船に浸かった。体の疲れが抜けていく。
風呂から出た私はぽかぽかの手で、先程フロントでもらった解答用紙を取り上げた。机の上には今日もらった資料一式と参加謝礼十万円が置かれている。
第一の事件。
…もう解けてしまった。正直肩透かしというか、知っている人間にとっては簡単すぎる問題だ。逆に簡単すぎて何か裏を考えている。
しかしシンプルに考えて、あの程度の問題で十万円などおかしい。
私はベットに横になりイヨ夫人の話、このミステリーゲームのことを考える。
豪華すぎるホテル。一事件十万という破格の賞金。簡単すぎる事件。同時進行の宝探しゲーム。他にも、何かはわからないが疑問に思うことがあるような…。
「何だろう…何か引っかかってるんだよなあ」
独り言つが、返事が返ってくるわけもない。携帯電話がないため誰かに相談することもできない。テレビも退屈だし、よく考えれば携帯電話がないとゲームもできない。何か本でも持ってくればよかった。
解答用紙に記入することはまだ避けたい。間違っている可能性だってある。簡単すぎるのだから。だからと言ってこれ以上考える気にもならない。もう寝てしまおうか…。
…仮眠を取ってしまったせいで眠気はない。どうするか思案していたその時、ふと小腹が空いたことに気がついた。
よくよく考えれば夕食の時間が早過ぎた。
「確か上にバーがあるんだっけ」
毎日飲酒する習慣はないが、急にアルコールを摂取したくなった。
私は館内図を確認し、鍵以外は何も持たずにバーへと向かった。
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