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「このおにぎり、うにとアワビが入ってる。青紫蘇も。海の香りに青紫蘇がよく合うわ」
みかんが焼きおにぎりを頬張りながら呟いた。そちらも旨そうだ。
「ここの料理、おいしいですよね」
「ええ。これだけでも遠い所から来た甲斐があるわ」
貝もおいしい。熱々で野菜と魚介類の甘味と風味を味噌と卵が上手くまとめている。
「みかんさんも良ければつついてください」
「ありがとう。おにぎりもどうぞ」
酒の力もあり、舌が饒舌になっていくようだ。みかんはほんのり顔を赤らめながら、窓の外を眺める。
「綺麗…。事件が終わって明日は暇になっちゃったわね。ホテル探検しようかしら。ホテルの裏側なんて滅多に見れるものじゃないし」
私も明日は暇になりそうだ。のんびり館内を散策するか。
仕事に追われることもなければ携帯に縛られることもない。そんな時も、たまにはあっていいのかもしれない。
私は夜景を目に焼き付けながら、ゆっくりとした時間の流れに呑み込まれたようだった。
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