監禁

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 現在、わたしはこの家に監禁されている……。  どうしてこんなことになってしまったのか? その辺の記憶は妙にぼんやりとしていて思い出すことができない。  朦朧とした意識でふらふらと道を歩いていたわたしは、この家の前までやってきて……気がつくと、ここに監禁されていたのだ。  そこでこの家の人に捕まり、強引に連れ込まれてしまったのだろうか?  まあ、一応、女子ではあるんだけど、そんなカワイくもないし、監禁される理由がぜんぜん見当たらない……いや、監禁といっても性的暴行を受けているのだとか、何か悪いことされているわけでもなく、ただ、この家から出してもらえないのである。  それにこうした事件の場合、犯人は独り暮らしの鬱屈とした独身男性だとか、そういったタイプの人間だと思うのだが、この一軒家に住んでいるのは祖父母に両親、幼い兄妹二人のアットホームな六人家族だ。  その上、なるべく顔をあわせないよういつも隠れてはいるが、こっそり覗うのにどうも悪い人達には見えない。時々、こども達がじっとこっちを睨んでいることがあり、それはちょっと怖かったりもするんだけど……。  また、わたしがこの家から出られないのは、なにも暴力を振るわれたり、鍵をかけた部屋に閉じ込められているからでもない。  どの部屋の戸もだいたい開いてるし、玄関や裏戸だって夜以外は鍵がかけられていない……なのに、どうしても外へと通じる戸を潜ることができないのだ。  そうすることが、なんだかとても恐ろしいような気がして仕方ないのである。  以前、監禁事件を扱ったワイドショーで、被害者はマインドコントロールされて、たとえ物理的には自由の身でも自主的に出て行くことができなくなってしまう…的なこと言っていたけど、わたしもその手のやつなのだろうか?  さて、そうして監禁生活を送っていたある日のこと。  他にも監禁されている人がいることを、わたしは今更ながらに知った。それまで行ったことのなかった屋根裏部屋を覗いてみたら、そこにそのおじいさんはいたのだ。  最初はとても驚いたが同じ境遇の者のよしみ、わたしは思い切って、これまでに抱いて疑問を尋ねてみることにした。
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