真夜中に荷物の来る家

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 幸せな結婚式だった。それからまだ一年しかたっていないのが嘘のようだ。  結婚した私は、旦那の実家がある九州で暮らすことになった。不自由のない生活だった。旦那は家業を継ぐ予定で父親の下で働いていて、私は主婦をする一方、足の悪い姑のサポートをした。姑は優しい人で、仲も良好だった。  唯一、わからないことがあった。  夜中に宅配便が来る。  それにはいつも旦那が出た。わざわざ起きて、何かの包みを受け取る。知っている限り、旦那は玄関に出て、十日に一度ほど荷物を受け取っていた。  それは夜中に配達される。  それは小包である。  仏間の隅に置かれ、触らないよう言われている。  開けているのを見たことはない。  数日後にはなくなっている。  宅配便と言ったが、大手ではないようだ。そもそも大手でこんな時間に宅配をするだろうか。  ――なぜ、昼間ではいけないのだろう。
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