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ハイヒールの音だけが響く夜の道。街灯も人通りも少なく、普段だったら恐怖を覚えるところだが、今の私はそれどころではなかった。私は、香織にラインを入れる。
――あのM大の男、ヤバいって!
――M大?そんな人、いたっけ?
――中曽根敦とかいう奴!タゲられたから先に帰るわ!
また、スマホが鳴る。そのメッセージを見て、私は足を止めた。
――M大の中曽根敦って、この間ニュースになってなかった?アパートで服薬自殺してたのが見つかったって。
ドクンと心臓が波打つ。脳裏に蘇る、あいつの声。
『まだ、女ではやったことないんだよね』
嘘だ。じゃあ、あの人は……。
こめかみに汗が伝う。手足の先が冷えていく。その時、背後で誰かの足音がした。
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