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苦しむ子供のように見えた。同時に、死んでいるかのようでもある。
多分、人間を模して造った人形ではあるのだろう。
一部紫がかった緑の粘土でできた夏休みの宿題は、小学生の稚拙さは確かにあるのに、妙に生々しかったのだとりなさんは言う。
りなさんが小学生の頃のことだ。夏休みが終わり、二学期がはじまって自由制作の作品が教室の後ろの棚に並ぶ。
「誰が作ったのかな」
「わたしじゃないよ」
五年二組の教室は既にそんな話で持ちきりだった。絵や立体、昆虫採集の標本に、なんらかの研究結果。そんなものに、制作者と簡単な説明文が添えられて並んでいる。
その中で、粘土の人形は異彩を放っていた。
ひとつは、前述のとおりその異様な雰囲気が原因だ。
もうひとつの原因は、制作者と簡単な説明文が添えられていないことで、課題のうちでそれだけが制作者不明になっていた。
数日が経つ頃には、担任の先生もそれを把握していた。
「作った人は誰?」
誰も手を挙げなかった。
勿論、こんな空気の中で誰かが言い出せないでいる、という可能性はみんな平等に持っていた。
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